僕がデジカメで写真を撮り始めたのは二十代前半頃からである。当時はまだスマホはおろかデジカメというものすらまだ出たばかりな感じの時期であった。そんな中で富士フイルムのFinePix1700Zというものを買った。2000年8月のことである。当時で5万円くらいはしただろうか。なかなか高額な買い物であった。これは祖父が孫たちの為に、それぞれに貯めてくれた貯金で買ったものである。聞こえはいいが、何か価値のある物にして活かしたいと考えたからだ。
今となっては珍しい縦型デザインのデジカメだった。画素数は150万画素と信じられないくらい低いけど、富士フイルムの自然な感じの色合いに魅了されたものだ。ただ積極的に撮影に出かけるとかいうことはしなかった。究極のインドア派だったので、何か写真を撮るために出かけるとかいう発想はなかったのだ。
あくまで日常の中で撮り続けていたという感じだ。今でいうとスマホで撮影するような感覚に近いのかもしれない。それでも都内に出かけたりしたときに、街中でちょこちょこと撮影するのは楽しかった。
富士フィルム FinePix1700Z
当時撮っていた写真をデータの片隅から掘り出してみた。
このカメラは意外と長く使っていた。2000年~2006年までの6年間で1万枚以上は撮ったようだ。とうとう壊れてしまい、分解して自分で直そうとしたらビリっと感電して、怖くなって廃棄となった。貴重なデジカメライフの経験を積めたので十分に役目は果たしてくれたと思う。そして次に買ったのがこれまたコンパクトデジカメである。NikonのP4というものだ。この機種は発売年が2006年とあるから、おそらくその頃に買ったはずだ。写真を見返すと2006年7月10日に購入したようだ。
Nikon COOLPIX P4
このカメラは結構、気に入っていた。コンデジとはいえNikonだ。画質も満足のいくものであった。150万画素から一気に830万画素であるから満足しないほうがおかしいか。センサーサイズも1/1.8型CCDとなかなかである。何枚か写真を貼る。
このカメラで妹の結婚式などもこれを持って行き最高の瞬間も撮れたと自負している。その時、親戚も同じカメラを持ってきていて驚いた記憶がある。この頃にはもう周囲は人たちはスマホなども普及していたと思う。デジカメなどももちろん珍しくはなくなっていた。ふと思い出すと、この頃、妹はEOS 30Dを使っていた。なにそれ羨ましい。
そしてかれこれ五年ほど経ち、さすがにへたってきたので、新しいカメラを購入。P4では2006年~2011年までの間で6千枚弱撮ったようだ。このNikonの画質が気に入っていたので、次の新しいカメラもNikonしか頭になかった。もうその頃は1000万画素世代に突入していたので、Nikon COOLPIX P300を2011年7月に購入した。
このカメラはひたすら明るいレンズで、夜に撮っても肉眼よりも明るく撮れて驚かされた。ただこのコンデジを買ってしまったのが僕の沼への入り口だったのだ。
しばらくするとふとあることに気づいた。拡大するとなんだかモザイクみたいな感じでつぶれたようなノイズが気になる。センサーサイズは1/2.3型原色CMOSとある。もしかすると小さいセンサーに、画素をつめすぎて画質が悪くなっているのではないか。
しかも今こうして改めて書いていると、P4はCCDだったけど、P300はCMOSになっている。この両者の画質の違いについて僕は詳しくないが、とにかくこのP300を買ったことで、僕のNikonのコンデジへの信仰が崩れてしまったのだ。
もうこのカメラはどうしたのかわからない。結局900枚程度しか撮らずに行方不明だ。誰かにあげたのかも知れない。こうして僕はセンサーサイズが大きくないとだめなのではないかなと気づいてしまうに至った。
ここで初めて僕の心がキヤノン(の一眼レフ)へ向かうのである。そういえば妹もEOS 30Dを使ってたなと思って調べてみるとなんとも自分好みの色合いである。その芸術的(?)な色あざやかさに惚れてしまい。気が付くと近所のヤマダ電機へ行っていた。
その当時の最新機種である、EOS60DとEF-S18-135mmズームレンズセットを2012年5月に9万円弱で購入。これはかなり安かったのではないかな。この60Dが当時としては重さ的にも我慢できる限界の機種であった。隣にあったEOS7Dなどは重くて無理って感じだった記憶がある。フルサイズ機などは、重さ的にも価格的にも逆の意味で眼中にすらなかった。
Canon EOS 60D
なんといってもこの一眼レフのカメラを持っている感じがすごい好きだった。これで撮影するモチベーションがすごく上がった。キットレンズのズームレンズも非常に便利であった。画質的にも不満はなかった。
ただ一つ不満が。これを肩にかけてあるいていると、レンズが自重で勝手に伸びてくるというものだった。考えられない。気持ち悪い。なんでだろうと思い調べると、安い(?)レンズにはよくある現象のようだ。
それならレンズだけは、もう少し高級なレンズにしてみようかな?などと考えてしまったのが、僕のレンズ沼への入り口であったようだ。キヤノンめ。
そこでヨドバシに行くとAPS-C用のEF-Sレンズはなんとなく魅力を感じるレンズがなかった。そこでフルサイズ用のレンズでもAPS-Cにそのまま装着できるということを知り、EF24-70mm F4L IS USMなるものが候補に入ったのだ。当時はアベノミクスの影響で浮かれてプチセレブ気分で購入することにしたのだった。それでもレンズに11万円。なんとなく感覚がマヒしていたのかもしれない。
このレンズは極めて描写力が優れていた。やっぱりキットレンズとは全然違う。赤レンズというやつだ。しかもロックもあるし、ロックしなくてもレンズが自重で伸びてこない。最高かよ。ということでしばらくはこのレンズにて喜々として撮影に勤しむのだった。
だが買う前からは気づいていたが、やはりフルサイズのレンズをAPS-C機で使うと、画角が約1.6倍となり狭くなってしまう。24-70mmが35mm換算で、38-112mm程度になるのだ。テレ端が伸びるのはうれしいが、これでは広角が撮れない。35mmならまだしも、逆に40mmにも届かず中途半端なワイド端。
ということで
「よしフルサイズを買おう!」
と、いろいろと長々とした過程はあったがそれは省くとしよう。なんとなく己の直感を信じて買うことにしたのだった。それでも素人に三十万円は大金だ。ヨドバシカメラのレジからではなく、清水の舞台から飛び降りる覚悟で買ったのだった。2013年4月に購入した。
Canon EOS 5D MarkⅢ
おそらく僕が今まで買ってよかったもののなかで五本の指には間違いなく入るだろう。一生使えるなら一生使いたい、とまで思いながらかれこれ六年が経とうとしている。
当然ながらこのカメラで撮った写真の数が一番多い。約5万枚以上は撮っているはずだ。60Dは割とすぐリリースしてしまったので四千枚程しか撮っていない。今は妹の手にわたっている。5Dは撮りすぎだ。数を撮ればいいというわけではないが、愛着もわき、とてもマップカメラの防湿庫にドナドナしようなどという気も起きない。生涯、そばに置いておいてもいいのではないかなと思えるカメラである。
まあ買取価格も爆下がり中ですしおすし。価格暴落中のEOS5DmarkⅣやEOS5DsRなどにも若干、目移りしつつも使い続けていくことになるだろう。EOS R?なにそれ美味しいの状態である。しばらくフルサイズミラーレス一眼にすることはないと思う。
多分。もしかしたら昔使っていた富士フィルムに戻るかもしれないけど。
あとサブカメラとしては2013年にGRを買った。
RICOH GR
GRを買うことで、中途半端にAPS-Cのミラーレス機などを導入しそうになるのを回避できた気がする。最近はGRⅢも発表されて、だいぶ型落ち感がでてきてしまったが、デザイン的にはまったく色あせていない。
5Dは本気モードで撮るときに、GRは散歩がてらスナップを撮るために使い分けている。5Dでも40mmf2.8などのパンケーキレンズなどをつければ十分、軽くなるけどね。
2019年はいろいろなカメラが各メーカーから発売されそうだが、当面の間、僕はこの二台を使っていくだろう。
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