モノクロ写真(Black&White)
今年はモノクロ写真も積極的に撮って行きたいと考えている。私がモノクロ写真を撮る場合は主にGRによってであるが、フルサイズ一眼でもモノクロ写真のHDR化に、地味ではあるが挑戦はしている。
そこで今まで撮ってきて、気がついた点をまとめてみたい。モノクロ写真の撮り方とコツである。これから紹介する10のポイントを意識するだけで、カラー写真を撮るときとは違った目で、被写体を見ることができるようになるのではなかろうか。
1.何よりも影を意識する
「もっと光を!」とゲーテが言ったとするならば、私は「もっと影を!」と言いたい。<撮影>という言葉は影を撮ると書くように、やはり写真には影という要素が大切であるのだ。ということをモノクロ写真を撮ることであらためて思い出すことになる。
影を意識することでのメリット
- 写真がより神秘的・ドラマチックになる。
- モノクロに欠けがちな立体感が生まれる。
- 無機質な中にも動きが出る。
- 主体がより際立つ。
- 形のおもしろさを表現できる。
などであろうか。影がでやすいのは日中であるが、夕方や夜の人工的な光などによっては長い影を撮ることができるだろう。
2.そして何よりも光も意識する
光と影はやはり二律背反であるがゆえに、光も意識しなくてはならない。私の場合、光の意識の仕方は二種類あるが、そのひとつが「仄暗い中のうすら明かり」というなんともまどろっこしい感覚である。この感覚は一言で言えば日本的な感覚である。
細かな陰影の繰り返しが、ほのかに明るい。こんな感じが好きだ。
周りの暗さを強調し、そこだけが消えていってしまいそうな仄明るさ。
電灯が無かった時代を想いながら、当時にタイムスリップした気持ちで撮る。
この仄明るいという感覚は、私の言葉で巧く表現するのは難しい。まだ読んでいないという方には、谷崎潤一郎著「陰翳礼讃」を読むことを強く薦める。
光を意識することでのメリット
- 写真に暖かみを感じる。
- 影だけにとらわれないことで、陰影がはっきりした写真となる。
- 逆説的になるが暗さがより際立つ。
- 明暗の比率を考えることで全体としてまとまる
- 光のさきに広がりができ、写真のそとにまでストーリーがあるように表現できる。
などであろうか。今考えた適当な解釈も含まれている。
3.光と影の織りなすシルエットを意識する
光と影の動きに意識が向かうようになったら、次はシルエットを切りとる感覚を磨くようにしたい。影でないものを影のように撮り。光をより際立たせるという方法である。エッシャーの絵のようなイメージである。
とてもエッシャーのような写真など撮れそうもないと感じる。エッシャーでいうところの「地と図の関係」を意識して撮れるようになりたい。
エッシャーで思い出したが、私の若き日の愛読書(といってもほとんど理解できずに終わっているが)。エッシャーについて言及された小難しい本。いつの間にか20周年記念版がでているようだ。
バス停でバスを待っている間にもこんなドラマチックな瞬間は待っている。油断しないでカメラを所持しておきたいところだ。
シルエットを意識することでのメリット
- 逆光を意識することで、よりドラマチックになる。
- モチーフが明確になり、主体がはっきりする。
- 地と図の関係に気がつくことで、背景にも意味を見いだせる。
- 幾何学的な形を表現できる。
- 写真を見る側に想像力をかきたたせる。
などであろうか。
きっと何かの記念なのだろうが、よくわからないオブジェをシルエットを意識して。
4.白飛び上等 ハイライトを意識する
思い切ってアクセントに、白飛び乃至は白飛びに近い部分を入れることで、写真がとたんに引き立つということもある。前述の光を意識することと、ハイライトを意識することは少し違う。
光を意識することは薄暗い部屋の中で、ロウソクを灯すようなものだと考えれば、ハイライトを意識することは、暗い夜道で突然、路上で車のヘッドライトに照らされるようなものだ。何それ怖い。
ハイライトといえば、水の反射が常套手段だろうか。こちらはあまりハイライト感はない。
仙台の どこかの橋の 水溜まり。俳句ではない。
ハイライトを意識することでのメリット
- 写真が徒に暗く(アンダー)なりすぎるのを回避できる。
- 露出が過多気味の川内倫子調の写真が撮れる。
- よりダイナミックになり、力強い写真になる。
- 写真のアクセントとして使える。
- モノクロ写真ながらも、光を主体にすることができる。
などであろうか。
ブラウン管テレビをハイライトに利用する。色々な意味でノスタルジーも感じる写真になった。
さて長くなったので続きは明日としたい。
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