いわゆる断捨離の本だが、やたらめたらと捨てればいいという極端なミニマリスト的な考え方ではなく「ときめき」という自分の中にある判断基準により、物を捨てることで、本当に大切で必要なものだけを残し、その大切な物と一緒に、これからの新しい人生をスタートさせようというような主旨のことが書かれている。
一番印象に残ったことは、物にも帰る場所を作ってあげようということだった。捨てるにしても、そこは帰る場所のひとつである。具体的には部屋のどこそこに何を置くかを決めるということだ。帰る場所を覚えた物たちはもう決して、迷子にならない。だから一度片付ければもう二度と片付けなくても、物たちはまっすぐ家に帰るようになるという。
僕は過去に執着して捨てられない傾向にあるようだ。逆に考えれば物を大切にしているということだと思っていたが、本当に大切にするということは、その物と向き合い、捨てるなら捨てると決断することなのだと知った。新しい未来のために、過去を捨てる。捨てるということはけじめをつけるということだ。
徒に物が増えていく生活の中で、大切な宝物が埋もれてしまって見えなくなっているかもしれない。捨てることとは、逆に考えれば宝物を掘り起こすことなのだ。捨てていくことで何が残るのか、もはや自分自身すらも捨ててしまうことになってしまわないか、自分のひとつの人生を捨てることで、何を得られるのか。人生は一つしかない。帰る場所を、選ぶために捨てなければならないこともある。
物だけでなく自分自身も、本当に帰ることのできる、家を見つけて、迷子にならないために、片付けるのだ。優れた片付け方法はもはや魔法と区別がつかない。
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