カメラの語源は元々は「小さな部屋」という意味であるそうだ。カメラ業界は日進月歩の進化を遂げてきている。カメラの性能は日々進化し、レンズの性能もそれに合わせて進化している。今やスマホでも十分なくらいの性能を有している。そんなカメラの遠い未来をつれづれなるままに、この小さな部屋の中で想像してみた。
1.カメラとVR技術との共存
これはそれなりに近い未来に起こるかも知れない。VR元年といわれている今年。近い将来にはVR内で国内・海外旅行はもとより、架空の世界への旅行が当たり前になる時代が来ることだろう。そんな世界でも人々は写真を撮りたいと想い、VR世界内で仮想カメラを構えて写真撮影に明け暮れる日が来るかも知れない。
そんな世界ではもう旅行先の天候に悩まされたり、観光客の多さに辟易することもなくなる。どんな奇跡的な光景も思うがままに、注文すれば再現できるようになる。虹色に輝く空。夕陽に染まる街並み。全てが絶好の条件、タイミングを満たして架空世界の私たちの眼前に現れるのだ。しかしそれを写真に撮ることの意味とはなんだ?という哲学的な問いも生まれるかも知れない。
2.多次元化する写真とレンズ地獄
写真は三次元の世界を、二次元の世界に取りこむ技術である。逆転の発想で二次元の世界を、三次元にする技術が発達するだろう。たとえば二次元の写真から、3Dプリンターなどで三次元に出力するなどは既に実用化されていることだろう。
問題なのは二次元から三次元にするには、二次元レベルでは欠損している情報が多すぎることだ。できる限り全方位から撮影したとしても、それは限りなく三次元に近い似非三次元にすぎない。完璧な三次元情報を二次元に於いて捕捉する技術が必要となる。魚眼レンズを超えるレンズとなると想像できるのは完全に球体のレンズくらいだろうか。その中に入らなければ撮れないとなると、まるで江戸川乱歩の鏡地獄さながらのレンズ地獄の世界となりそうだ。
3.過去に写真を送る方法
今期アニメ「orange」では過去に手紙を送っていたが、それの写真バージョンもできるのではないか。もちろんアニメではなく現実に於いてである。某○ERNの協力は不可避かも知れないが、ブラックホールを作る技術があれば理論的には可能と思いたい。
とは云えデジタルデータであれ所詮はメモリやハードディスクという物質的な電磁記録であるから、重力には耐えられない。そこで0(ゼロ)次元にデータを変換する必要がでてくる。質量がゼロであれば重力の影響は受けないか、少ないと考えれば(以下略)
今のところ過去に写真を送ることはできないが、未来に写真を遺すことはできる。また写真というものは既に「時を止めること」に成功していると考えれば、今後、過去の時間軸をも掌握するのはまさに時間の問題だ。
4.人工知能が撮る写真
感性とか、センスだとか云われていた人間特有の芸術的才覚が、人工知能によって代行される日が来るかも知れない。加工技術であるデジタルフィルダーだとか、エフェクトだかもそれの一種かも知れないが、それよりも進んだ人間に迫る感覚を獲得する日がくるだろう。
もう人間が撮ったのか、機械が撮った写真なのか、判断することはできないし、判断する必要もなくなる。二足歩行ロボットが旅に出て、綺麗な風景を、人工知能搭載カメラにて完璧な画角、シャッタースピード、感性にて撮り、インスタグラムにうpして、誰かがいいねする。その誰かももはや人間かロボットかわからない。だがそれがいいね。
5.センサーの高性能化による共感覚への対応
写真から感じることのできる世界は、「色」と「形」だけではない。その写真の独特の雰囲気だとか、匂いとか、ときとして音とか、質感までもを感じることができる。それはもはや共感覚に近いのではないか。我々が感じている感覚質のようなものをまるごと受け止めてくれるようなセンサーが開発され、ついには人間の五感を超えるセンサーを搭載したカメラが出るかも知れない。
レンズすら人間の瞳の明るさなど優に超え、技術はもはや人類を置き去りにして進歩し続けて行く。もはや人類の側が、カメラの性能に追いつくために進化しなくてはならないのだ。そして世界さえもカメラの性能に追いつくために改変されなくてはならない。
6.量子力学との融合により全てを記録する光学装置
誰しも「人生の全てのシーンを記録しておけたら」と一度は考えたことはあるだろう。写真においてであれ、動画であれ、VRであれ、脳内の記憶そのものであれ。そういう意味に於いては、膨大なデータ量を簡易化処理して非可逆圧縮して記憶してしまう人間の脳には欠陥がある。
そこでなんとなく量子力学である。曖昧な記憶を曖昧なまま記憶する、なんとなく人間よりな量子力学とデジタルを巧妙に融合させて、エンタングルメントする。するとマッハの原理により世界全ての原子がユビキタス化して、正確に記録することができるようになる。なんとなくそんなことが起こりそうだ。
7.AR技術とカメラの常時装備
これだけの情報化社会においても、現実とネットの世界はまだ完全に融合しているとは言いがたい。PCやタブレット、スマホをいじらないとネットすら見られない。脳内インプラント、もしくは装着型のAR端末を電脳コイルさながらに、常時装備する時代が来るだろう。
プライバシーの侵害、肖像権の侵害などの問題が山積するかもしれないが、そのAR端末から得られた情報は常に公にされ管理されることで、逆説的にその問題を回避できるかも知れない。
8.反物質を応用したカメラ
中二臭溢れるこの反物質(アンチマター)はなんでも現実界に既に存在するらしく、1gの単価が1000兆円ほどするという、この反物質。某先生の人体実験にも使われていたようだが、これを応用することでどのようなカメラができるのか。想像するだけで、なんにも想像できない。少なくともバッテリー切れの心配はなくなりそうだ。
またこの反物質のなんらかの技術を用いて、なんらかの光源の意図的な、なんらかの操作が可能になれば、なんらかのレンズの軽量化や、F値や焦点距離もなんらかに思いのままになるかも知れない。
と、こんな感じでカメラの未来をつれづれなるままに書き綴ったところで今回は以上とする。
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