アガベ沼に落ちた話2025年版


今年はカメラ本体どころかレンズも一本も買わなかった。何を隠そうその代わり、妻と二人で植物沼に落ちていたのであった。植物沼の中でもあまりメジャーではないアガベ沼にどっぷりと浸かっていた。

今年2025年だけで僕のアガベは108株増えて、去年、買っていた1株と合わせて109株となったのである。妻のアガベは68株となった。つまり今年だけで二人合わせてアガベが176株増えたのだ。もう今月はさすがに買わないとは思うが、まだまだ増える可能性は否めない。

「いやはや一体全体アガベの何が良くてそんなに沼ったの?」「アガベって何?」「シロップ?」「テキーラの原料?」「アロエ?」という読者の心の声が聞こえてきそうだが、僕がアガベの魅力に気づいたのは、去年10月にジョイフル本田瑞穂店で購入した1株の王妃兜蟹錦という小さなアガベを買ってからであった。そのアガベは斑入りのアガベで何となくかわいいからという理由だけで780円で買ったのだった。ただその当時はビカクシダに嵌っていたので、アガベより全然、ビカクシダの方がかっこいいよなという感じであった。まだアガベとアロエの違いがよくわかっていない段階であった。これがアガベのファーストインパクトである。(だがしかしアロエ沼もまたすごい世界であることを僕はまだ知らない)

そしてそれから暫くたったある日のこと。ボール型に丸く育ったアガベをみて、なんだこれかっこいいと思ったのがアガベのセカンドインパクトであった。こんな丸くなるものなのだなと思い俄然、興味がわいてきたのだ。一方、僕の買ったアガベ王妃兜蟹錦を見ると相変わらずぺちゃんこなのである。どうすれば丸くなるのだろうと、調べたり、聞いたりすると、ちゃんと光に当てないとダメなようなのだ。育成環境が大切。この時はまだ植物育成用のライトのことなどはまったく知らなかったのである。

アガベが気になり始めて、丸くなりそうなアガベを求めて、新年早々1月4日にオザキフラワーパークへ赴いた。そこで迎えたのがアガベのチタノタの魔丸(ままる)というネームド株であった。なんとなく丸くなりそうでムチムチしているアガベだった。その他にも数点、アガベを購入した。そのときついでになんとなく気に入ったので買った「アガベ・チタノタ -表情豊かな株の個性と美しく仕上げるための育成- (栽培の教科書シリーズ)」という書籍(教科書)が、のちに僕をアガベ沼に突き落とすことになるとは知る由もなかったのである。

チタノタ本を見ていると、近所にありそうなアガベショップが目に入った。「ライセンスプランツ」(Licence Plants)という店だ。川崎の宮前平駅前にあるようで家から10kmちょっとのところである。さっそく次の日1月5日に行ってみた。我ながらものすごい行動力だ。ここはまさしくアガベの楽園であった。良血統のネームド株を主に扱っているようで価格もなかなか高価な品揃えだったが、2025円セールが開催されていたので、そこからいくつか株を迎えた。紅猫、海王、ローズ、ホリダ、マルモラータ・パピリオ・プラタノイデスという名前だ。帰りにホームセンターのシマホに寄るとなんとアガベが売っているではないか。しかもネームド株である。そこでもジャガーノート、シーザー、南アフリカダイヤモンド(SAD)、シャークソードなどを購入した。

そして翌週の1月11日にプラネットロックプランツ御茶ノ水店にライセンスプランツが出店していると聞き行ってきた。そこで購入したCOK/CG01というアガベを買ったときに事件が起きた。なんと価格を一桁間違えていたのだ。でもなぜかいっちゃいますと買ってしまう自分。この頃からすでにタガが外れかけていたのかもしれない。合わせてトニー産白鯨と白銀甲蟹というアガベを購入した。

この白銀甲蟹というアガベがいわゆるベアルート株というもので、根が全て枯れているので、発根をさせなくてはならないという株であった。試行錯誤して発根管理をすること52日目にしてようやく根が出た。その感動は忘れられない。以降、発根管理にはまることになった。なんだかんだでかれこれ50株ほど発根管理で根を出させていたりする。根が出たときは「お根でとう!」「いい根!」などの業界用語があるのが面白い。

そうして近所の園芸店巡りがはかどる日々が始まる。Flower Village、タナベフラワー、奇妙な植物園、プロトリーフ、そして念願のシマムラ園芸やmana’s farmにまで遠征をすることになった。近所のホームセンターのパトロールもかかさない日々が続く。そんな毎日が充実している。今まで植物に碌に水などやったこともなかったのに、水をあげて心が整っていくのを感じたり。少しずつ成長するアガベたちをみて幸せを感じる。何より妻と同じ趣味ができたのも大きい。夫婦でアガベをみては、この鋸歯のこの感じがいいねと店頭で話していると、近くの客に夫婦でそういう話ができるっていいですねと言われたり、店の人にも、自分もそういうパートナーを探したいと言われたりで、わりと夫婦で共通の趣味というのはレアなケースなのかなと思う今日この頃である。ただ弊害としては、歯止めが利かない!

そしてアガベのイベントにも出陣するようになってきた。赤レンガ倉庫のアガベマルシェ、横浜アソビルのアガベミーティング、海老名のボタニカル夜市、埼玉しらこばと水上公園の草乱祭、ふじさんめっせのFUJISAN FESTAなど、数々のイベントに行ってきたのであった。

アガベを始めて二か月目で、実生にもチャレンジして各種のアガベの種を播種してみたりもした。またオテロイ実生が大流行した今年は、ZEUS氏のZEUS実生ポップアップイベントにも行き、実生株もいくつか迎えた。自分では計200以上の種を撒いて育成をしている状態だ。

今年後半はイラン株にも興味が出てきて、CHAMのイベントに連日、赴いては株を迎えてしまった。アングリーハート、ドワーフ、グリフィン、サンフレイム、ペルシアンドワーフ、ノヴァなどイラン株は独特のネーミングで好きだ。

ライセンスプランツのインスタライブオークションが3月からはじまり、毎週火曜日はライセンスの日という流れになり、夜な夜な落札しては翌日に店まで取りに行って、おかわりのアガベを買うというパターンが出来上がった。かれこれそのパターンで40株ほど増えたのだった。やや高級ネームドとしては台湾ゴジラ、白嵐、狂門牛、藍悪霊などなどを迎えた。

またメルカリやヤフオクでも玉石混交ではあるが、アガベが出品されているので見繕っては落札している。gypsy_plantsにてHIDDEN AGAVEのジェレミー株のハイブリッドでエボリスピナ+ブラック&ブルー(エボリBB)を購入。他、こちらで緑犀牛とオアハカ現地株も購入。福園芸にて曙光と姫厳龍のハイブリッドである曙光姫などを購入した。叢氏では麻花龍、ホホジロザメ。AGAVE SHIDA氏では白豪刺、伝説の清櫻などを購入した。

株がみるみる増えてゆき室内管理の置き場問題が発生し、植物育成用の棚を5台導入。植物育成用のLEDパネルライトを16台導入し、植物育成用LEDスポットライトは6台導入した。和室を植物専用部屋にした。また室外管理としては、歩道に面する庭には軽石と赤玉土を表土にして、みかも石を配置しアガベ用のドライガーデンを作ってみた。

用土もアガベに合う配合を模索して、硬質赤玉土小粒とひゅうが土小粒、ゼオライト、ベラボン、竹炭などを配合して独自のブレンドで作っている。

そんな感じでちゃくちゃくとアガベ沼に落ちてゆき、挙句、近所に土地があったらアガベ育成用に買ってみたいと探し始めたり、ガラス温室を建てようとしたり、コンサバトリーを建立しようとまで画策し始めたので、すこし自らをセーブするに至る。来年はどうなってしまうかと考えると怖い気もするしワクワクもするのであった。

以上、足早であったが今年の振り返りである。

 

 

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